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『余命1年』

 

「あなたの余命は、あと1年です!」

と宣告されたら、僕はどうするだろうか

多分、毎日毎日を一生懸命に生きていこうと思うに違いない

具体的には?と自らに問うと、答えはすぐに出てこない

 

たぶん、朝は早く起きるのだろう

1日を少しでも長く生きたいから

充実した時間を少しでも長く味わいたいから

 

そしてお酒も飲まなくなるに違いない

朝は少しでも爽快に目を覚ましたいから

 

人には笑顔で接したい

元気な声で、おはようと挨拶したい

相手がムッとした顔で睨み、返事をしなくても、

笑顔でいたい

 

自分の良心を大切にしたい

耳を傾け、自分の行動の指針にしたい

良心に耳を閉ざすと、うしろめたい気持ちでいっぱいになる

どうせ生きるなら、残された命を全うするなら、

胸をはって過ごしたい

 

何か、人の役に立つことをしていきたい

カウンセラーのような仕事もよいかもしれないと思う

人の話を聞くくらいなら、僕にもできるかも知れない

話を聞いてあげて、それで少しでもその人の気持ちが楽になるのであれば、

それはとても素晴らしいことだと思う

 

それから人を褒めてあげたい

心から褒めたい

がんばってるよね、すごいね、と言ってあげたい

 

ありがとうと言いたい

感謝の気持ちを素直に伝えたい

 

心正直でありたい

素直でありたい

透明な自分でありたい

そしたら、何と身軽なのか、と思うに違いない

 

ここでふと思う

もしかすると、僕は余命1年かも知れない

交通事故、突然の発作、あり得ない話ではない

本当は1年ではなく、1週間かも知れない

明日かも知れない

 

残された時間をいかに有意義に過ごすかを考えている間、

楽しかった

そのように生きられたら、幸せだと思った

それが今はできていない

 

僕は、残された時間はあと1年です、と言ってほしいのだろうか

宣告されれば、ふんぎりがつくと思うのか

今はふんぎりがつけられないのか

何をそんなに守りたいのだろう

なぜこんなに甘えてしまうのだろう

やりたいことがこんなにあるのに

すべてをほったらかしにして、僕は何に時間を費やしているのだろう

 

1日しっかり生きてみたい

1時間でもいい

勇気をもって生きたい

捨て身になったり、童心にかえってみたり

何かワクワクして生きてみたい

今、この瞬間、僕は自由なのだから

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1998年作